7. 霊・たましい・体の3層構造
「心」はわれわれの目に見えないものであるが確かに存在し、物質である「脳・神経」がその働きに深くかかわっていることを知った。
ここで、さらに、脳の無い「心」が存在するかは非常に難しい問題であり、人間の意識は死後も存在するか、死後の霊魂は存在するか、という問題にかかわってくる。 このことは、物質科学の範疇を超えていて、科学的手法では扱うことができない。しかし、少なくとも
精神医学、脳・神経医学、心理学などの分野では、どうしても切り離せない領域である。
ここで、「心」や「意識」の基準を、「聖書」にもっていくと、明瞭な知見が得られるのである。 聖書的な霊的世界(物質的世界も含む)の構造は、次の通りである。
(1) 人の3重構造:
「主イエス・キリストの来臨のとき、責められるところのないように、あなたがたの霊、たましい、たらだが完全に守られますように。」(Tテサロニケ5:23)
「その後、神である主は、土地のちりで人を形造り、その鼻にいのちの息を吹き込まれた。そこで、人は、生きものとなった。」(創世記2:7)
聖書では、この他の多くの箇所でも、 「物質的」な世界と、「霊的」な世界とを
明確に区別して記述されている。(ただし、単純な”二元論”ではない) 使徒(パウロ)によって詳細に区別され、「霊」、「たましい」、「体」の3層構造として記述されているのはこの箇所だけであるが、 霊: 永遠に存在する実体、 たましい: 知性・情操・意志などの個体の知覚や精神活動の全般、と解釈する。
聖書では、肉体の素材については、あっさりと「ちり」と言っていて、周囲のありきたりの物質で構成されていることを示している。その構造は、@
DNA・生化学的メカニズムとして寸分の隙も無いほど非常によく「設計」されていて、A 不完全性定理で議論されるほど 計り知れないほど「複雑」ではあるが、素材としては所詮”ちり”なのである。
しかし、肉体が創造された後、これとは別に、神様からの「いのちの息」が吹き込まれたということが、人が「霊的」な存在であることを表している。(息 = 霊)
われわれが、この地上で生を受けている間は、先ほどの議論で”重畳”という言葉を使ったとおり、脳・神経の物質的な活動は、「意識」の活動と連動して働いている。そして、たとえば、末梢神経の運動神経も感覚神経も、(その伝達方向は違っても)構造の差が無く、ただ「(創造主である)主 の主権」によって、運動か感覚かが定められている。
また、霊には、たましいのすべての履歴が書き込まれている。
* いわゆるニューエイジ的な”超能力”やユングの”集団的無意識”は正しくない。 1970〜80年代に盛んに行なわれた超能力の実験結果は否定的だった。(
→ マイクロPK実験 )
(2) 原罪による変容:
「神である主は、人に命じて仰せられた。「あなたは、園のどの木からでも思いのまま食べてよい。しかし、善悪の知識の
木からは取って食べてはならない。それを取って食べるその時、あなたは必ず死ぬ。」」(創世記2:16、17)
さて、せっかく アダムとエバが 「神様に似たもの」(創世記1:26)として造られたのに、創造後まもなく
蛇(背後にサタン)に惑わされ、主から 決して食べてはいけないと言われていた、「善悪を知る知識の木の実」を食べてしまい、「原罪」(すべての罪の元となる 罪の性質 = 自分が神になって善悪を規定してしまう性質)が遺伝子の中に入ってしまった。 彼らは、いつも食べていた、「いのちの木の実」から取って食べ 永遠に生きる ということがないように、エデンの園から追い出された。(創世記3:23、24) こうして、アダムとエバの子孫である、人類の「寿命」が有限のものとなった。さらに、人間が罪を犯すので、そのさばきとして、ノアの時代に「大洪水」を起こさせ、人はノアとその子供夫婦計8人だけ、その他すべての種類の動物が箱舟に乗って生き残った。(創世記7) このとき、上空の分厚い”水蒸気の層”が無くなったので宇宙からの放射線の影響を強く受けるようになり、DNA損傷の確率が増して、人類の寿命はさらに短くなった。( → 2.地層年代とノアの洪水 )
人間の寿命は、神様によるさばきの結果である。 ”寿命”は、今尚そのメカニズムがよく分かっていないが、DNAの両端のテロメアの長さが短くなり、DNAが複製の際に損傷を受けるようになり、その損傷のひどい部分から老化して死に至る、といわれている。(
→ 下 F 老化遺伝子 ) (定期的に食されていた「いのちの木の実」は、何らかの方法でテロメアを修復し、DNAをいつまでも無傷でいられるようにしていたと考えられる。 * 霊的には、いのちの木は「キリスト」のことである。)
動物も、造られた当初はすべて、草を食べる”草食性”だった。(創世記1:30)( ・・・ 現在も、”レタス犬”という仔犬の時からレタスくずだけを与えられて生きている種類の犬もいる) これが、人の堕罪によって、地上のものがサタンの支配下に置かれ、動物の遺伝子が一部操作されて”肉食性”の動物ができた。アンテナペディア遺伝子( → B ホメオティック遺伝子)が一部破壊されることによって、昆虫の触角の代わりに脚が生えてくる といった
ダイナミックな変化が容易に起きるように、草食性の歯が犬歯状になり、消化器官も肉食に適合したものとなり、また、血や肉を好む嗜好へ感覚器官なども変容した、と考えられる。 神様によって造られた直後は、”弱肉強食”など無かったのである。
植物も、一部遺伝子が変わり、雑草のような、食べられる実を結ばない不毛な植物が多くできてしまった。(米や麦と同じ”イネ科”のススキなど)
また、DNA断片から発生したウイルスや、それらによるさまざまな病気が発生し、人も動物も早死にするようになった。
したがって、人の原罪のゆえにこの地上のすべてはのろわれ、神様は、創造されたこの天地万物を一度完全に滅ぼし、すべてを刷新する時(終末の再臨の時)を定め、千年王国の後、永遠に続く 全く新しい「新天新地」を備えておられる。
すべての 悔い改めない、原罪を持つ人間は、世の改まる時に 主の御前に出されて、生前の行いに応じて「審判」(さばき)を受け、究極的には(サタン・悪霊どものために用意された)ゲヘナ(「火と硫黄の燃える池」(黙示録20:10)、霊的焼却炉)に投げ込まれ、そのまま
神様から永遠に忘れられ、(人の霊も永遠の存在だから)永遠に苦しむことになる。(黙示録20:15)
(3) キリストの十字架による救い:
「神は、実に、そのひとり子をお与えになったほどに、世を愛された。それは御子を信じる者が、ひとりとして滅びることなく、永遠のいのちを持つためである。」(ヨハネ3:16)
しかしながら、神様は、この罪に堕ちた人間に、あわれみの手を差し伸べられた。
なんと、御自身の御子キリスト・イエス様を、罪と和解のための「贖いの犠牲」とされたのである。そして、御子イエス・キリストの十字架による「贖い(あがない=買戻し)」を受け入れ、信じる者にはだれでも、罪を帳消しにし、御自身の霊: 「聖霊」を与え、全く値なしに「神の子」としての身分を与えてくださるのである。 このように、救われた人の霊は、さばきを受けることが無く、朽ちない「新しい体」が与えられ、復活されたキリスト・イエス様と共に、永遠の新天新地に住まうのである。
・・・ これが、「福音(=良い知らせ)」である
この地上にあっても、救われると、悪魔の支配から 神様の支配に移り、すべてが堕罪前の創世記2章の世界に(あるいは、それ以上に)回復する。
したがって、人の大脳も 神様の支配下に置かれるので、かつては悪霊の影響を受けていた前頭葉の10野・11野、側頭葉の38野、頭頂葉の40野などが、聖霊様に満たされるようになる。( → (5) 人の大脳の特異性: )
人がこの「聖霊のバプテスマ」を受けると、それらの大脳の分野も活性化され、精神的に健康であると同時に、「異言(いげん: 天の新しい言葉)」を語る。
さらに、「預言」などの「御霊の賜物」(Tコリント12:4−)が開かれ、神様の御声に「聞き従う」歩みをして、(精神的なレベルを超えて、)超自然的な神様の奇跡のわざを体験し、最終的に、「御霊の実」(ガラテヤ5:22)を結ぶことができるのである。